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日常の些事。

夜、家の外

明日は燃えるごみの日だからごみを捨てにマンションの外に降りた。

 

夜、部屋の外に出ると、まだこの町を見慣れない、と感じる。旅行で泊まっているホテルから、夜ちょっと抜け出したような感覚になる。

 

他所の土地にいるんだな、自分が住んでいるのはここじゃないんだな、と感じる。

 

まだこの町に馴染んでいない、と強烈に突きつけられる。

 

東京にいた時は、終電まで、あるいは始発まで外にいて、色んな時間の町の風景を見てきた。

 

この土地では、まずそんなに夜遅くまで出歩くことがない。そんなに遅くまで出掛ける用事もないし知り合いもいないからだ。そして家の周りには公共交通機関がないし、あったとしてもそれらの最終の便は東京とは比べものにならないほど早いので、出掛けたら歩いて帰ってこなければならない。

 

だから、夜のこの町をまだ知らない。

 

ごみを捨てに出るだけの僅かな時間、旅先で夜ホテルを抜け出したような興奮が入り混じった錯覚と、自分はよそ者だという孤独を同時に感じる、夜。