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日常の些事。

按摩マッサージ指圧師の施術を受けた話

2024年の大晦日。自宅から30分程で行ける観光地に一人ぶらぶらと遊びに行った。

 

観光地なので年末の旅行客でごった返していて、旅情を感じられるような光景ではなかったため早々に帰ろうとしていたところ、観光案内の看板に按摩の施術所が載っているのを偶然見かけた。「国家資格の按摩マッサージ指圧師による施術が受けられます」と書かれている。

 

私は按摩マッサージ指圧師の国家資格を持っているけれど名簿登録をしただけで、卒後仕事でこの資格を使っていない。職場は鍼灸しかしないので職場にも鍼師と灸師の免許の写ししか提出していない。色々考えて卒後すぐは鍼灸だけをする職場に入ったけど、でも私は本当は按摩師として仕事がしたい。学生の時は試験だなんだで按摩をしたり受けたりしていたけど、卒業してから一度も按摩を受けてない。必要が生じてオイルマッサージを少しやったくらいだ。

 

年末だし、疲れを癒すのと自分の勉強も兼ねて按摩師さんの施術を受けてみようかな。

 

そう思って飛び込みで施術所に行ってみた。予約をしていなかったけど施術を受けられることになった。

 

受付で、施術者によって施術の特徴が違うので按摩と指圧どっちを受けたいか訊ねられた。私は按摩を受けたいと思ったが、自分の仕事的には指圧を受けた方が勉強になるのではないかと思い始め悩んでしまい、結局按摩とも指圧ともどちらともつかぬ中途半端な返事をしてしまった。

 

 通された部屋にはせんべい布団が敷いてあるだけである。そこで待っていると受付をしてくれたスタッフに伴われて盲の方が入ってきた。看板には特に記載がなかったが、盲の按摩師さんが在籍していたのだ。

 

盲の方は、目が見えない分指先や手の感覚が優れているという話をよく聞いていた。一度は盲の方の施術を受けてみたいとかねてより思っていたので、思わぬ機会である。

 

どんな症状で施術を受けたいか訊かれ、肩がガチガチで腰も痛いと伝えた所、それ以上特に何を訊かれるわけでもなく横向きになって施術が始まった。

 

自分が習った手順とは全く違う流れで施術が始まった。どんな施術になるのか分からず緊張したが、せっかくだから身を任せようと心に決めて施術を受けた。

 

色々聞きたいことが頭に去来したが、勉強モードになってリラックスして施術を受けられないのが専門学校時代からのジレンマだったので、免許持ちということは黙っていた。

 

横向きで、肩から頭部、腰、脚と施術を受けて反対側。最後はうつ伏せで背中の施術という流れだった。久々の叩打法に、按摩師さんだ〜!という気持ちになった。

 

どういう手技なのか分からない部分も多かったが、施術後信じられないくらい肩や頸周りの筋が緩んだ。私は体格や性格があわさって斜角筋がとにかく硬いのだが、それが信じられないくらい緩んだ。大袈裟でなく帰りに肩が軽過ぎて、背負っていたリュックの中身を施術所に忘れてきたのではないかと荷物を確認してしまうくらい改善した。しかもこの楽さが年末年始の間ずっと続いていた。自分の体の癖もあって少しずつ戻ってしまってきているけれど、この効果の持続具合は凄いと思う。

 

聞けば施術してくれた方はこの道33年。中途失明で、当時は目が悪くなったら按摩師になるしか仕事が無いという時代に資格を取った方ということだった。

 

キャリアの長さと、やはり盲人の手の実力があってこそなのか…と思いつつ、何がどうしてこんなに効果が出るのか気になるところ。

 

自分なりに感じたのは、筋の一つ一つを触っていたと思う。身体を面で揉むというよりは筋を触り分けて一つ一つを時間をかけてほぐしていたように感じた。全身を揉みほぐすリラクゼーションというよりは、硬くなった筋を一つずつ治療する、という感じだった。狭い範囲をずっと触ってるみたいな時間も結構あった。

あとは力いっぱいという感じではなかった。箇所によっては腕まで痺れたり(神経の走行が筋に圧迫されてるからそこを施術すればそうなるよなという痺れ)、そこ触ると本当に痛い…という感じだったけれど、痛くしてやろう、痛気持ちい感じにしてやろうという施術ではなかった。とにかくこの筋をほぐすにはここをこう触るしかないからこうします、みたいな施術だった。体重を乗せてるだけで腕の力は全然使ってないと言っていたので圧のかけ方もポイントだったのだと思う。

 

その結果が、この軽さであった。

 

施術者の方とはたまたま一緒に話せる話題があって、鍼灸按摩とは関係ない話でひとしきり盛り上がりつつ、和やかな時間であった。

 

身体の調子も良くなって、気持ちの良い年末年始が過ごせた。また行こうと思う。

2024年・私の「今年の漢字一文字」

毎年書いてる、私の「今年の漢字一文字」。

今年も決めました。

 

2024年の漢字の前に、

歴代の「今年の漢字一文字」を振り返り。

 

2018年は「削」

(まだブログやってなくてリンク貼れる記録がない)

2019年は「転」

【455】2019年・私の「今年の漢字一文字」 - Blog 1/445

2020年は「繋」

【91】2020年・私の「今年の漢字一文字」 - Blog 1/445

2021年は「恵」

2021年・私の「今年の漢字一文字」 - Blog 1/445

2022年は「初」

2022年・私の「今年の漢字一文字」 - Blog 1/445

2023年は「乱」

2023年・私の「今年の漢字一文字」 - Blog 1/445

 

2023年の漢字は、完全に忘れていて今読み直して思い出した。2024年が大変過ぎて去年の「乱」なんて忘れてたわ…。そして今年の始め頃まではまだ専門学校生だったということがなんだかにわかには信じがたい。

 

そんな2024年を振り返っての今年の私の漢字一文字は…

 

発表します!

 

(ダンッ)※毎年一人で盛り上がるのが恒例

 

2024年の漢字は

 

「変」です!!

 

***

①立場の変化

 

2月。ついにあんまマッサージ指圧師国家試験と鍼灸師国家試験を受験。

3月。無事合格。様々な事情が重なっていたので、無事合格できて心の底からホッとした。

4月。名簿登録が済んでついに専門学校生から鍼灸あんまマッサージ指圧師に。

なりたてとは言え、有資格者と無資格の学生では置かれた立場が全く違う。

 

***

②生活環境の変化

 

卒後、自分の中では思い切った決断をして地方へ移住した。

「できるだけ環境を変えずにずっと同じ所に留まりたい」というタイプの自分がこの思い切った決断をしようと思ったこと自体がすでに自分の中の「変」化である。

 

しかし、学生の時1年間交換留学を経験したもののその時とは状況が違う。

一人暮らしの部屋を引き払って都道府県を跨ぐ長距離の転居は初めてで、部屋探しから転居、それに伴う各種手続きまでとにかく全てが大変だった。国試の合格発表前に転居をするのに国試に落ちたら採用取消ということだったので「万が一落ちていたらどうしよう」というストレスもすごかった。もう二度とこんな思いしたくない。

 

地方に行くことが確定した時期も年度末に近いギリギリだったから時間をかけて準備もできずお金もたくさんかかった。2月3月で60万くらいお金を使った(引っ越し代が馬鹿みたいに高い)。入学時には想定していなかった支出だったから経済面での計画変更も避けられず。

 

さらに全ての人間関係を東京に置いてくるような形になったのでとにかく孤独!SNSがあるから平気だろうと思っていたけれど、毎日職場以外では誰とも会わず、感染症対策で食事は個食。専門学校時代は毎日誰かと食事をしたり勉強したり喋ったり、道場に行ったり介護のバイトに行ったり友達と会ったりとにかく人に囲まれて生活していたから、転居先での生活で気が狂いそうだった。

 

鍼灸師としての日常も楽しい事ばかりでは決してなく、積もり積もったストレスが6月頃に大爆発。7月には友達の厚意に甘えて5日間東京に逃げ帰った(泊めてもらった、永遠に有難い…)。

 

東京に戻ったら、ああ、東京ってなんて自分に馴染むんだろう、と全身で感じた。東京にいた時は東京の嫌なところもたくさん感じていたけれど、それも含めて自分はやっぱり東京が好きなんだなと思った。東京で、付き合いの長い友達や専門学校の同期、先生、SNSを通してお世話になった先生方と会って、たくさん話して、遊んで、それでようやく気持ちが落ち着いた。特に専門学校の同期が忙しい中たくさん集まってくれて、みんなで馴染みの店に行って、学生の頃のようにワイワイと食べて飲んでおしゃべりして、心の底から元気になれた。ほんの数ヶ月前までは毎日一緒にいたのに、もうそんな日々は過ぎてしまったと思うと本当に信じられなかった。それももう「去年のこと」になりつつある。自分も、みんなも、これからますます変わっていく。たくさんのことが変化していっても、変わらないものが残って欲しいと思う。

 

***

鍼灸師になっていく、変わりつつある

 

鍼灸師の免許を取って立場上は鍼灸師になったものの「本当に鍼灸師なのか?」と問われると「いいえ」としか答えられない。免許を取って早9ヶ月。まだ鍼灸師になりきれていないと言ったら「甘えてんじゃねぇッ」とぶん殴られそうだが、「鍼灸師になりつつある」というのが正直な実感。そして自分の在り方も、変わっていかなければいけないと思う。考え方も変えなければいけない。鍼灸師としては「変わった」というより「変わらなければいけない」「変わりつつある」という状況が2024年最終日の現状。

 

***

④気持ちの持ち方、在り方の変化

 

自分のスタンスや考え方がある面では大きく、ある面では小さく変わった、変わっていっていることを感じた一年だった。

 

自分には無理だ、不相応だ、自分なんかが、あるいはシンプルにめんどくさい、

と思うようなことも、やってみた、言ってみた、行ってみた。

 

私は、変化が苦手でできればずっと同じでいたい。その状態で安定していたい。

 

だけどよく言うように現状というのは常に上昇していないと維持されない。加齢に伴う健康とかでイメージすると伝わりやすいかな。体力だけでなく、生活も、人生も、現状を維持するためには緩やかな上昇を続けなければ重力に引っ張られて下降してしまう。だからずっと変わらないというのは、現状が落ちていくのをぼんやりと眺めているだけで何もしないということだ。

 

鍼灸師だからとか関係なく、自分という一個体が死ぬまで生きるにあたってそれではまずいというぼんやりとした不安が心のどこかにあって、今年はその不安に少しずつだけど立ち向かおうという気持ちを持ち始めた。

 

行動してみたことでよかったこともあるし、やらなければよかったと思うこともあったように思う。でも不思議と今年は「後悔した」という思いは無い。その場その場で「こうしよう」と思ってやった結果がこうだったというだけで、それ以上でもそれ以下でも無い気がする。

 

変わることやいつもと違うことを過度に怖がらないようにしよう、来年は、もっともっと。

 

***

 

2024年は、学生から鍼灸師への変化、これまでの自分と変わった部分、変えようとした部分、変わらなければいけない部分、環境の大きな変化、行動の変化、色々な変化があって目まぐるしかった。ストレスも大きかったけれど、その分楽しいこと嬉しいこと心動かされることも沢山あった。

 

***

 

そして今年も会えた人、今年初めてお会いできた人、直接会うことはなかったけれどSNSを通して気にかけてくれた人、関わってくれた全ての人に感謝の気持ちがいっぱいです。皆さんがくれた良いご縁のおかげで一人では耐えられないような大変な時期も乗り越えられたと思います。ありがとうございました。

 

***

おまけ〜今年見た綺麗な景色〜

 

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焼物の魔力

地方に住み始めてハマった物の一つに、焼物がある。

 

きっかけは春に行った焼物市だった。引っ越しの時にだいぶ食器を処分したものの、生活するのには事足りる位は持っていたのでその日食器を買うつもりは全く無かった。引っ越したばかりのこの地での新しい生活に早くも閉塞感を感じ始めていた時期でもあったので、祭りのようなそのイベントに行ってみてリフレッシュしたいという気持ちで足を運んだのだった。食器よりも焼物市のついでに出ているであろう屋台のツマミや、昼間から飲むことになるであろうビールを楽しみにしていた。

 

 

会場の駅前通りでは、道を目いっぱいに使って、焼物作家さん達が自分たちの作品を売っていた。私は焼物と言うとなんとなく、おばあちゃんの家で煮物でも盛られて出てきそうな、昭和レトロといったようなデザインを予想していた。しかしそこに並んでいたのは北欧を思わせるような洗練されたデザイン、古臭さやダサさなど微塵も感じさせない美しく洒落た食器たちで、私は衝撃を受けた。

 

全て手作業で作られる焼物は一つ一つが作品であり、量産品の食器とは違って値段が高い。本来なら手が出せない物が多いのだが、この日はイベント出品のため普段百貨店などには出回らない2級品、B級品と呼ばれる作品が私でも手が届く価格で売られていた。それらはちょっとしたキズや歪み、模様のズレなどがあるのだが、素人目に見るとそこまで気にならないし、一つ一つが手作りなのでそれさえもその器の味わいのように感じられて素敵だと思った。

 

見れば見るほどどれも素敵で、買うつもりは1ミリも無いという思いはあっという間にどこかへ吹き飛んでいった。一つくらい何か買ったっていいじゃないか。

 

この地に住んだ記念にマグカップを一つだけ買おうと決めて、散々悩み数時間かけて幾つもの店を往復した末に一番気に入ったデザインのマグカップを厳選して一つだけ買った。2,400円だった。これまでの人生で買ったカップの中で一番高かった。翌日も休みだったので、明日の朝はこのカップでコーヒーを飲もうと決めてその日は眠りについた。

 

 

翌朝。休みの日なのでいつもより長く寝ていたいと思うところ、この日は「あのマグカップで朝のコーヒーを飲む」という予定が楽しみで、仕事に行くのと同じ時間にベッドから飛び出した。そして決めた通りそのマグカップでコーヒーを飲んだ。

 

そうすると、どうだろう。これまでのどんなコーヒーよりも、そのコーヒーが美味しく感じられた。豆はいつもと同じ、スーパーで買ってきたただの豆である。淹れ方も変えていない。自分が気に入った器で飲むだけでこんなに幸せな気持ちになれるのかと思った。付け加えると気分の問題だけでなく、カップの縁の口当たりがとても良い。ぽってりとなめらかで優しい感じがするのだ。器の重み、手にしっとりと馴染む感じも、これまで使ってきた器とハッキリと違う気がした。指先や手、唇というのは人体でも感覚が敏感な部分なのでより違いを実感しやすいのかもしれない。

 

ともかく、たった一口のコーヒーを飲んだその瞬間、私は焼物の沼にハマってしまった。

 

もっと欲しい。この使い心地をもっと楽しみたい。

 

そう思った私は焼物市が2日連続で開催されていたのをこれ幸いと出掛けて行き、新たに食器を物色し始めた。しかし元々食器を増やす予定ではなかったのもあって買うべき物をなかなか決められない。急な出費にもなるので無闇に買うことはできない。この日も散々迷った挙句、晩酌用にとても美しいお猪口と、カレー以外にも使えそうなカレー皿を1枚だけ買った。

 

 

この日から、マグカップ、カレー皿、お猪口をしつこいくらい使い続けた。使っても使っても飽きなかった。私の作る大したことない手抜き料理も、スーパーで買った安い豆で淹れたコーヒーも、一人で寂しく飲む日本酒も、この日買った器に入れるとどれもとても美味しそうに見えて食事が楽しくなった。食べている最中も器の模様や形を見るとうっとりする。食べ終わった食器を見ても、いい器だなぁ、好きだなぁと思う。流しに置いても絵になる気がするし、それを洗ったり拭いたりしている時間も好きな時間になった。拭きながら器の感触を手で確かめて一人でニヤニヤする危ない奴になっていった。

 

 

どんなに使っても飽きないとは言ったものの、マグカップとカレー皿とお猪口では、使える料理や飲み物が限られてくる。普段食べるおやつやフルーツ、他の料理でも使える器が欲しいと思うようになった。

 

好きなデザインの好きなサイズの器を思うままに買えたらどれだけ幸せだろう。そんなことを思うようになった。しかし正規品を店で買うのは今の自分の経済状況では厳しいものがある。年内にもう一度焼物市が開かれるという噂を聞きつけた私はその知らせを待ち焦がれるようになった。その日が来たらどんな器を買おう、どの作家さんのところに行こう。料理や食事の度にそんなことを考えてはネット上に開催のお知らせが出ていないか確認する日々が続いた。

 

本当に開催されるのか、そろそろ案内が出てもいい頃ではないかと気を揉み始めたある日、地域の広報誌に焼物市開催の案内が載っているのを見つけた。何が何でも必ず行くと決めて、絶対に他の予定を入れないように気をつけながらその日を迎えた。

 

 

焼物市当日は大変な賑わいであった。春の時よりも出店数が多く、どこから何を見て行ったらいいのか分からなくなるほど大量の焼物がずらりと並んでいた。今回は予算も設定し、欲しい器の種類も決めてきたので、目標を定めつつ、1軒1軒全ての店を見て回った。イベントなので焼物作家さんのインタビューなども行われていて、作品造りへのこだわりが会場中に響き渡っている。あの作家さんはこういう想いでこの器を作ったのか、こういう経緯で焼物作家になったのか、こういうことが好きでこのデザインが生み出されたのか。背景を知るとますます愛着が湧く。器は日常で使われる道具でありながら作品なのだと思うと、芸術や工芸というのは美術館や博物館で眺めるためだけでなく生活の中にもあるのだなと感じる。

 

一人で行ったため止める人も無く、気づけば6時間近く器を物色して11個もの作品を買っていた。今回は器だけでなく箸置きなどの小物も買った。前回気になったけど衝動買いは良くないと思って諦めた作家さんの作品も今回は思い切って買った。たくさん買ったもののイベント価格で買ったので無事予算内に収まった。本当に「心ゆくまで」という言葉の通り好きなだけ焼物を見て触れて比べて買って、楽しい時間だった。焼物の性質上11個も背負うとさすがに重たかったが、心満たされる重みだった。山の上で開催されたので斜面を何度も登り降りして膝も痛くなったけど、そんなことは気にならないくらい楽しかった。

 

 

あれから毎日焼物で食事をして飲み物を飲んでいる。その一回一回がとても楽しくて豊かな気持ちになる。食事が楽しく、自分の作った手抜き料理も美味しく見えて食欲がそそられて、つい食べ過ぎてしまうことだけが悩ましい。

関西お灸の旅-4日目-

旅の記録の続き。

(前回の記事はコチラ)

 

***

関西最終日。

 

大阪らしいものを食べたい!という思いは叶わずモスバーガーのモーニング。モスバーガーって美味しい。

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前日の均整灸セミナーの復習をしながら。

 

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その後、近くにある少彦名神社へ。4月にお参りに行って肌守を買って、それを職場の名札に入れて毎日見守ってもらっているのでそのお礼の挨拶をするためだ。

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たまたま一粒万倍日でこの日限定のおみくじが出されていた。最近のモヤモヤ(いや、最近に限らないけど)、先が見えない現状の不安などを払拭したい気持ちが思い出されて、ここは一つ神農さんの言葉を聞いてみようという気持ちになって引いてみたら、あたりのお札が。しかも大吉だった。

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なんだか救われたような、安心したような気分になった。今の自分はなんの生産性もなければ人の役にも立たず、以前のブログにも書いたように鍼灸師になって後悔はしていないけど鍼灸師になって良かったと思えた日は未だに一日もない。色々もがいてはみているものの、成果らしいものは何も無く、閉塞感だけが募っていくような毎日だ。今の日々を、将来良かったと振り返る日が来るのかも正直分からない。これでいいのかという思いが常に心のどこかにある。そんな毎日を過ごしているが、神農さんに大吉のお墨付きをもらえて、別にこの瞬間に何かが劇的に変化したわけではないけれど、少し気持ちが落ち着いたし、もう少し頑張ってみようという心持ちになった。

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巫女さんが鈴を鳴らしてお祈りしてくれて、一粒万倍日限定の御朱印も授かった。もうしばらく、神農さんに見守ってもらおう。

 

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次の目的地は心斎橋だ。目的は、フォロワーさんに教えてもらった古書店訪問。

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中尾書店。小さなお店ながら、東洋医学系の書籍が充実していて、写真で言うと右側の棚の一面が漢方と鍼灸の古書で占められていた。和綴の古い本から、最近の本まで色々あった。

 

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手元に欲しかった『図説 東洋医学』が2,000円で買えた!(中古市場では安くても3倍くらいのお値段に…)

赤羽幸兵衛先生の灸頭鍼の本も面白そうで購入(後日読んだら本当に面白かった)

 

他にも漢方の一般向けの読み物や触診術の本も購入。勉強させていただきます。

 

店主の方が親切で、キャリーバッグも引きずって荷物いっぱいの私が困らないように色々配慮してくださってありがたかった。

 

この日は中尾書店がメインの目的地だったので、もう行きたいところが無くなったのだが、歩いていたらブックオフを見つけてしまいそこでも本を買ってしまった。行きよりも荷物が増えて大変なことになってしまった。だが後悔はない。

 

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昼食は餃子の王将。いや、住んでるとこにもあるんだけど、遠いから…。と言うのは言い訳で、王将大好きなので!せっかく近くにあるのだから!餃子を!美味しく頂きました!

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王将っていつどこで食べても絶対美味しい。

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大阪に行ったら絶対に買って帰る551の豚まんをゲットして、

(蒸される前の姿、むちむちしてて可愛い。)

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飛行機に乗って帰宅。

 

***

 

色んなお灸に触れて、東洋医学に関わる場所も巡って、欲しかった本も手に入れて、美味しい物もたくさん食べて、会いたかった方、初めましての方たちにも会って、大満足の4日間。

 

関西で交流させていただいた皆様、ありがとうございました。

 

以上、旅の記録でした。

 

 

 

関西お灸の旅-3日目・均整灸セミナー-

旅の記録の続き。

(前回の記事はコチラ)

 

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3日目は今回の関西旅行のメインイベント、スペインの理学療法士鍼灸師でもあるフィリップ・カウデット先生による均整灸のセミナーに参加した。

 

参加の動機は「お灸で姿勢を整えるってどういうことだ?」だった。

 

自分の中でお灸と言えば、内科疾患、筋や神経性由来の痛み、メンタルの不調、不眠の改善、などによく使うイメージで割と万能というか色々使える手法だと思っている。そのつもりで今勉強している。私自身はまだ駆け出しでお灸で治療できるぞ!という域には全然達してないけど、私ができるかどうかは置いておいて、お灸にはそういう効能があると思う。実際多くの患者の不調がお灸で改善しているのを目の当たりにはしている。

 

が、理学療法的に灸を使うというイメージはあまりない。鍼灸師理学療法士のダブルライセンスの先生の話も聞いたことは何度もあるが、大体みんな鍼との併用で灸の話は聞いた記憶がない。

 

名著と言われる『鍼灸真髄』には昭和のカリスマ・沢田健がお灸で姿勢をバンバン治している臨床例がたくさん載っているが、今のところそういう劇的な場面に出会したこともない。

 

理学療法でお灸だけで治療???どうやって???もしそれを知ることができたら自分の中にあるお灸の効能のイメージがもっと広がるのではと思ったのが参加のきっかけ。

 

***

当日は前日までの暑さとは打って変わって曇天の寒い一日だった。

前日まではノースリーブでうろちょろしていたのに急に寒くなって怯んだ。コンビニでカイロを買って肩甲間部に貼った。ここに貼ると全身が温まるんだ。

 

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初めて訪れた森ノ宮医療大学。有名だけど関東圏出身者的には馴染みが薄くて、初めての森ノ宮にドキドキした。

 

余談だが事前情報の通り周りには飲食店とか何も無かった。セブンイレブンがあったのが救い。

セブンで買っても良かったけど、せっかくなのでとお昼はセミナー主催の先生がまとめて発注してくださったお弁当にした。

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めちゃ美味しかった。幸せ。

 

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均整灸のセミナーは本来であれば6日間、日本でのセミナーは通常2日間で行われるそうだが、今回は1日に凝縮した構成で、午前に理論、午後に実技という内容だった。講義はスペイン語で、均整灸を学んだ先生が通訳を務めてくださった。

 

有料セミナーの内容を自分の記録用とはいえオンラインに挙げるのは憚られるので詳しい内容は割愛するが、個人的にハッとさせられることが多かった。

 

お灸で姿勢にアプローチするとはどういう理論なのかを知ることができて、お灸やファシアについて、次にこういうことを勉強してみようとかあの本を読んでみよういう目標もできて次に繋がったのも良かった。今の自分は臨床でスーパー竹筒灸は使えないけれど(立場上)、少しずつ自分で試してみようと思う。

 

フィリップ先生のお灸に対する強い想いにも感動した。まず、漢字圏でもなく、日本から遠く離れたヨーロッパにいながら深谷灸を学ぼうというのが凄いことだと思うし、それを理学療法と合わせて臨床で活用するに至った考え、アイデアも凄い。自分は日本人で、日本語で書かれた本は読み放題で、灸をしても良いという資格も持っていて、灸ができる土壌にいて、灸を考え実践する環境はフィリップ先生の何百倍もあるのに、ここまでの情熱を持ってお灸をできていなかったなと少し反省した。お灸の可能性をもっと追求して、困っている人が少しでも楽になるようにお灸を使っていく気概を持とうと思った。

 

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そして、今回のセミナーは本編とは別の凄いお土産が。

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様々なメーカーの艾サンプル!!!!!

 

艾は一度買うと10gくらいでもなかなかの量で、特に透熱灸では毎日使ってもほとんど減らない。一度買ったらそれを使い切るまで他の物をなかなか買わないし、一度使いやすい物を手に入れたら他の物を検討しようという気にもなかなかならないんじゃないかと思う。色々買っても使いきれないし、良いものはそれなりの値段がするので試しに買ってみるにもなかなか手が出ない。台座灸や円筒灸のサンプルはたまに見かけるけど艾をそのままサンプルでもらえる機会はあまりないんじゃないかと思う(私が知らないだけかもしれないけど)。

 

だからこんなふうに様々な種類の艾を一度に触ったり香りを嗅いだり捻り分けたり燃え方を比較したり、なんてことは滅多にできない。自分が普段使っている艾以外にも、自分の手に馴染む艾があるかもしれないが触れる機会が無くては知ることもない。

 

今回のセミナーでは、お灸マニア(という言葉では表現しきれないくらいお灸大好きな方)でもある主催の勝元先生 (@katumotosinqin )のご尽力のお陰で、このような素晴らしいお土産がいただけたのだった。

 

特定のメーカーだけではなくて様々なメーカーの、さらにそのメーカーごとの様々な種類の艾を一度に触れるって、本当に凄いと思う。

 

知らないメーカーもあったし、知ってても触ったことがない物が殆どで、高ければ必ずしも自分にとって良いというわけでもなく、撚り心地や燃えたときの皮膚の感じなどなど、比べてみると本当に楽しい。セミナーからもうだいぶ経っているけど、ずっと遊べる。

 

私はこれまで「マイベスト艾イズ釜屋」派だったけど、今回カナケンの特選点灸用艾を初めて触って「これも良い…!」と感じた。亀屋佐京商店の家伝もぐさと小林老舗の雅も捨てがたい。小林老舗は、以前から最高級桐箱入艾が欲しいなぁと思っているので年内に購入予定。香りが良い。箱も綺麗。

 

***

お灸の様々な可能性に触れて、もっともっとお灸を楽しみたい!と思えた一日で、遠方だったけど思い切って参加してよかった。

ありがとうございました。

関西お灸の旅-2日目③京都せんねん灸SRと滋賀友-

旅の記録の続き

(前回の記事はコチラ)

 

***

お灸の治療院で身体がゆるまった。

なんとなく元気になった気がしたので次の目的地まで歩いてみることにした。

目的地は、せんねん灸の京都ショールームである。

 

行く道すがら、味わいのあるストリートを通った。古本屋や小道具屋がポツポツとあって、どこも心くすぐられた。何軒か覗いてみると、細々した美しいものや気になるタイトルの本が目に止まって楽しい。今住んでいるところではアジア系の旅行客ばかり見かけるのに比べて、欧米の旅行客がたくさんいて、わからないけれどフランス語やドイツ語のような音が聞こえてくるのも新鮮な気分だった。

 

せんねん灸のショールームは、巨大な商店街の果てにあった。商店街の入り口に着くと「祭でもやっているのか?」と思われる賑わいだった。たくさんの様々な人に、派手な装飾に様々な店。京都はこれが日常なのだろうか。今の自分の日常とはかけ離れた光景で、映画の中に入り込んでしまったような感覚になった。

 

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お祭りのような商店街を抜けた一角にあった京都のせんねん灸。

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看板は京都ショールームのオリジナルなのかな。

 

セルフケア用に、ドラッグストアでは売ってないせんねん灸クローバーやアロマ灸を、友人へのお土産に京都限定パッケージの香木のお灸などを買った。せんねん灸クローバーは、箱も可愛くて、熱さが合う人だったらプレゼントにも良いなと思う商品。私ははなのかほりが好き。香木もいいな。

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(写真はせんねん灸HPから。クローバー灸は上のリンク先からオンラインでも購入できます。クローバーシリーズはちょっと熱めなので、お灸ビギナーで初めて買う方には「はじめてのお灸moxa」シリーズがおすすめです)

 

この日は「せんねん灸の日」キャンペーンの只中で、店舗購入で様々な特典があり、無事(?)せんねん灸オリジナルエコバッグもゲット。オリジナルエコバッグは初めての試みだそう。わかる人の集まりに持っていって自慢しよう…(せんねん灸マウント)。

 

***

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友人に会う前にたこせん。

 

その後京都駅で翌日の朝食用に志津屋のパンを購入。京都って言ったら志津屋だよね!?(昔見た県民ショーの知識)。やっぱり私はご当地物が好きだ。京都は全然詳しくないけれど「ニューバード」というのが京都のご当地パンだと店頭に書かれていたのでそれを購入した。京都の人はみんな食べてるのかな。

 

 

***

夜。京都駅前で滋賀に住む友人と久々の再会。

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お好み焼き。

 

滋賀友からのお土産がすごくツボでとても良かったから紹介。

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「ロクブンノイチ野帳

曰く「みんな“滋賀県って半分は琵琶湖でしょ”って言うやん。ちゃうねん、琵琶湖は滋賀県の1/6やねん」

と言うことを主張するためのノート。

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琵琶湖に詳しくなれます。このブログ読んでくれた人はもう「滋賀の半分は琵琶湖」って言わないように。

 

そして、

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「ニブンノイチ野帳

「滋賀の半分は森林やねん」だそうです。

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そうすると、滋賀は2/3は自然ということか。

鍼灸師目線で滋賀と言えば伊吹山の艾。お灸で使われる良質な艾も、自然豊な滋賀県で育まれているのだなぁ。いつか滋賀に言ってお灸工場を見学したり薬草の湯に浸かってみたい。

 

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滋賀の老舗、菓匠禄兵衛の「ご縁まん」と「本之木餅」

「こうして出会って長年経ってもまた会えるのはご縁やからなぁっていう気持ちと、よよこにもまた良いご縁があって、そうやってご縁が繋がってくとええなぁと思って。友だち会う時に持ってくようにしてんねん」って。素敵か。本当に、若いころから縁を大事にする人なんだよね、彼は…。人間として立派で、私には到底真似できないことが多いけど見習うことが多い友人の一人。

 

そしてこっちも負けじと(?)県産の美味しいもの土産で応酬した(土産合戦)。

 

久々の友人とこうして会えるのは幸せなことだなぁと思う。

そして友人との交流は刺激になる。

次また会う日まで、私も私の人生を、頑張ろう。

 

関西お灸の旅-2日目②お灸の治療院-

旅の記録の続き

(前回の記事はコチラ)

 

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仁和寺から京都駅まで戻ってきた。次は予約していたお灸の治療院に行くのだ。外は変わらず雨降りで、時間も中途半端だったのでカフェに入って読書でもしたかったけれど、京都駅前はどこもかなり混んでいた。ポルタの地下にあるイノダコーヒーなんか大行列であった。行きたかったなぁ…。

 

さて、お灸の治療院はと言えば、とても面白かった。ブログに書いて良いか確認するのを忘れてしまったので詳しくは書けないけれど、一口に「お灸」と言っても様々な種類があるということを、前日に引き続き改めて実感した。

 

そこでの灸法は、以前同じ治療院に行った友人から聞いた話から私が勝手に想像していたものとは全然違った。そして当然心地良かったのだけれど、想像していた熱感よりもだいぶ熱かった。こういう方法があるということを初めて知った。

 

そしてそんな熱感なのに灸痕は全く残さず、すごい技術だと思った。自分は施術を受ける側で様子が見えなかったから想像になるが、タイミングとかがすごく大事なんだろうと思う。まさに絶妙。

 

また、この先生の透熱灸もすごい技術だと思った。艾炷を見せてもらってその熱感を体感したけれど、自分が作る艾炷とも職場の人の艾炷とも違う熱感だった。帰ってきてからマネしようとしたけれど難しくて、熟練の技を感じた。

 

施術の流れも面白かった。これまでに受けたことがない流れだった。

 

治療院のスタイルもシンプルで、先生の治療スタイルとピッタリ合っていて心地良い空間だった。

 

午前中歩き回っていたのもあって施術を受けるとついウトウトしてしまったりもしたが、気になることを質問すると快く教えてくれて、楽しくて心地良い時間だった。

 

思い切って行ってみてよかった!

 

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京都の旅はもう少し続く