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日常の記録。

老婆心

 

鍼灸学校の進学希望者に向けて、定期的にこんな発信をしたくなる。一体どれだけの人に届いているかは分からないけど、もし誰か1人でも目に留めてくれて、その人が何かを考えるキッカケになったらそれだけで嬉しい。

 

自分のことでもないのに、私が定期的に同じことをツイートしてしまうのは、入学前に自分が散々悩んで迷った経験があるからだ。

 

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専門学校に入学して驚いたのは、職域(資格で出来ること)、広告規制、業界構造etc.何も知らずに入学している人が沢山いたことだった。

 

その人達を無知だと批判する意図は一切無くて、自分だって何もかも知ってるわけじゃない。

ただ自分の置かれている立場(経済面・能力面・体力面)から見たら、その人達と同じ行動を自分は取れないと感じた。

 

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専門学校の学費は高い。300〜500万円はかかる。3年間休まず通わないといけない。

その間生活費はどうするのか?卒業したら一体いくら稼げるのか?その国家資格の免許でできる仕事は何なのか?自分がやりたいことと資格の内容は合致しているのか?など。

 

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私は本当の本当に最初、柔道整復師の専門学校に入学しようとしていた(8年前)。だけど調べたら自分がやりたいことは柔道整復師の国家資格の免許の職域ではなかった。

 

次に鍼灸の専門学校を検討した。理由は学費だ。あん摩マッサージ指圧師の資格も含めて3つ資格が取れるコースと比べると学費が100万円位安かった。だけど調べたら、これまた自分がやりたいことは鍼灸師の国家資格の免許の職域ではなかった。

 

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一度に3つの国家資格(鍼師・灸師・マッサージ師)を取る計画は自分の頭脳と体力では無理な気がした。マッサージ師の資格だけ取れる学校に行こうと思った。

 

だけど調べていたら、あん摩マッサージ指圧師の人が後から鍼灸の学校に行ったり、鍼灸師の人が後からあん摩マッサージ指圧師の学校に行ったりしていた。

 

計算したら、国の支援金をフルで使ったとしても最低でも800万円くらいかかりそうだった。そんなお金はどこにもない。

 

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仕事を辞めずに夜間部に通うことも考えた。しかし当時の勤め先には「正社員or無理なら辞める」しか選択肢がなく、定時に退勤しても授業開始に間に合う学校がなかった。

 

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派遣やパートで働きながら夜間部に通うことも考えた。しかし私は新しい事や予測できない事にテンパりやすく、テンパるとメンタルを崩すから、新しい仕事と新しい勉強(実技付き)を同時にこなすのは無理だと思った。「やればできる」とは全然思わなかった。自分の経験上、このパターンでは悪い未来しか見えない。

 

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色々な可能性と現実を擦り合わせては潰すことを繰り返して、結局、会社を辞めて本科(あはき3免許取れるコース)の昼間部に進学した。

 

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長々と自分のことばかり書いてきたが、結局何が言いたいかというと、学費が高い・勉強は大変・実技も大変・3年間休まず通わなければいけない。

 

その引き換えとして「自分が働きたい働き方ができる免許を取得するための国家資格の受験資格が得られる」(※学校を出ただけでは免許は取れない)

 

2つを天秤にかけた時、自分の中で後者が重くなるか?

 

その天秤に載っている判断材料は十分か?

 

柔道整復師鍼灸師あん摩マッサージ指圧師の職域を調べて知った上で学校を選んだ身としては、「資格名の雰囲気」で進学するコースを選んでほしくない。

 

雰囲気じゃなくてその免許が何のための免許なのかちゃんと知ってほしい。

 

知らずに雰囲気で進学すると、こんなはずじゃなかった、やりたい仕事ができない。そんなことになりかねないと思う。

 

 

高い学費と短くはない3年という時間と比較して、その免許は自分に合っているか?

 

もちろん、住んでいる地域、年齢、家族構成、様々な要素で選択肢の幅は変わってくると思う。それでも知っていて選択するか、知らずに選択するかでは、勉強の仕方や卒後の働き方を考える上で違いが出てくると思う。

 

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私の場合。

 

単身、一人暮らし、親族からの住居・金銭・物理的支援一切無し、資産△、稼ぐ力△、体力△、という条件で、そのリスクを背負えるかと言ったらギリギリのラインだった。

 

だから出来るだけ調べて、極力後悔するリスクを減らしたかった。

 

お金や時間にもっと余裕があったり、体力と精神力があってバリバリ働けたり、稼ぐ力がすごくあったりしたらこんなに調べなかったと思う。

全部無いから、調べてリスクを減らす位しかできなかったとも言える。

 

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幸か不幸かコロナの影響もあってインターネットから得られる情報は爆増した。SNSも私が調べてた頃と比べると人が増えた印象で、冒頭に挙げたフレンドリーマップのような取組みも生まれて、直接会いに行って仕事の実際を目にしたり話を聞けるハードルも下がった。学校は入学相談をオンラインでもしてくれる。

 

別に私がやってることが誰にとっても良い方法かどうかはわからない。それはその人次第だと思う。

 

知らなかったからできなかった、知ってたら良かったのに。

 

自分がそう思いたくないから、他の人にもそう思って欲しくないなというだけ。

 

と、そんな気持ちで書きました。

 

老婆心!